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Home >  在宅診療の教科書 >  在宅診療のよくある「7つの誤解」②

在宅診療のよくある「7つの誤解」②


「在宅医療はハードルが高い…」そう思っていませんか?
在宅医療のよくある「7つの誤解」を挙げ、その真相を知っていただこうと思います。

今回は後半部分、誤解4~7をご紹介します。

▷▷▷前半 誤解1~3はこちらから▷▷▷

誤解4:かかりつけ医を変えたくないので、在宅診療はできない

在宅医療を受け始めるときは、「今まで通っていた病院との付き合いをすべてやめなければならない」と思っている人もいるようです。
実は、ケアマネジャーなど介護の専門職のなかにも、そのように誤解している人がいます。
そのため、「病院をやめてしまうと、長く見てもらってきた先生に悪い」とか「かかりつけ医を変えるのは不安」といった理由で、在宅医療に消極的になってしまうケースもあります。

結論から言うと、通院して診てもらいたい医師がいるならば、病院への通院治療と在宅医療を並行して行っても、まったく問題はありません。(下図「病院通院と在宅医療の併用イメージ」参照)

また、「信頼している医師がいるけれど、そろそろ通院が難しくなってきた」というときは、その主治医に「往診を頼めるか」、あるいは「これまでの治療を引き継いでもらえる在宅医を紹介してほしい」と相談してみるのも一案です。

病院通院と在宅医療の併用イメージ

誤解5:十分な治療ができず、早く亡くなってしまう

在宅医療では、病院と比べて十分な治療ができずに生存期間が短くなってしまうのでは…と心配する声もよく耳にします。

まず、在宅医療で行える医療は、病院と全く同じとまではいえませんが、手術や放射線治療など一部の高度な医療を除けば、ほぼ顕色ありません。
また、病院でなければできない治療が必要なときは、提携先の病院に受け入れを要請するシステムも整備されているため、十分な治療が受けられないという心配は無用なのです。

がんの患者さんを対象にした調査では、病院で治療を続けた人と在宅医療を選んだ人とを比較すると、在宅の人の方が、生存傾向がやや長い傾向があるという結果が出ています。(2006年4月、約2000人を対象とした筑波大と神戸大チームの研究より。)

誤解6:在宅医療は、終末期に行うものだ

がんの終末期のように「病院でできる治療がなくなり、あとは死を待つのみという状態の人が行うもの」というイメージを持つ人もいるようです。そのため「うちはまだそういう状態じゃないから」と無理をして通院を続けている家庭もあります。

確かに、在宅医療では終末期の患者さんのケアや看取りなども行いますが、それだけが在宅医療ではありません。

「住み慣れた自宅でゆっくり療養したい」
「自宅で生活しながら病気の進行や体力低下を防ぎたい」
そのようなときも、在宅医療では患者さんの要望に合わせて医療・ケアを提供できます。

誤解7:自宅で看取るのは難しいので、在宅医療は無理

「在宅医療をいったん始めたら、自宅で看取りまでしなければならない」という誤解も多いかもしれません。

しかし、在宅医療を始めるときに、必ずしも看取りの場所が決まっている必要はありません。
自宅での看取りもできますが、「最期は病院で」という本人やご家族の希望があれば、そのようにも対応できます。

看取りの方針が決まってないときは、在宅医療をまず始めて、その流れの中で相談をしていけばいいのです。

ちなみに:在宅医療が難しいケースとは

在宅医療が困難かケースがあるとすれば、それは本人が病院での治療を希望しているときです。
また、同居のご家族に自宅での看病・介護に強い不安がある場合でも、在宅での療養の継続が難しいことがあります。
体調に変化があったときに救急車を呼んでしまい、入院したまま在宅医療へ戻れなくなるケースも、少数ですがあります。

しかし、そうした限られた時を除けば、基本的にはどのような状態の人でも、また家族がどのような状況でも、在宅医療を選択することができます。

本人やご家族が在宅医療に関心がある方は、ぜひ当院にご相談ください。

引用元

『1時間でわかる! 家族のための「在宅医療」読本』 著者:内田貞輔(医療法人社団貞栄会 理事長)
発売日:2017年11月2日
出版社:幻冬舎